🌸 第1回:ガーデンツーリズムとは?制度の目的と魅力
1. 制度の背景と誕生の意義
日本には、四季彩る日本庭園、洋風庭園、植物園、都市公園など多彩な緑の風景が点在しています。
しかし個別の魅力を十分に伝えきれていない現状もあります。
それを受け、国土交通省は2019年4月に「庭園間交流連携促進計画登録制度」、通称ガーデンツーリズムを創設しました(国土交通省)。
この制度は庭園同士の連携と情報発信を支援し、国内外からの観光誘致と地域活性化の両立を目指すものです。
2. 「庭園間交流連携促進計画」とは?
この制度では、複数の庭園や公園、植物園などが「協議会」を組織し、共通テーマに基づいた連携を行います。
計画内容を有識者審査会で審査し、都市局長が登録する流れです(国土交通省)。
全国を見渡すと、北海道ガーデン街道やガーデンネックレス横浜などが代表事例として登録されています。
3. 制度で目指すもの:「交流」と「体験」の創出
ガーデンツーリズムの狙いは、ただ庭園を紹介するだけではありません。
観光客が庭園を巡る中で「学び」「癒し」「ふれあい」を得られるよう、共同イベントやルート設定、公園間連携の体験づくりを支援します。
民間と公的機関が協力し、その魅力を磨き上げ、広く広報することが地域振興につながります(J-STAGE)。
4. 地域にもたらす大きなメリット
- 観光誘致の強化:単一庭園では届かない人々に、まとめて魅力を届けることが可能に。
- 文化資源の蓄積と継承:歴史や風土をもとに庭園文化を掘り下げ、地域文化の魅力を高めるきっかけに。
- 経済効果の波及:パンフレットや共通チケット、体験プログラムなどを通じて地元の飲食・物販・宿泊につながります。
- 人的ネットワーク形成:園芸家、自治体、観光協会、DMOがつながり、持続可能な運営基盤となります(観光経済新聞)。
🔚まとめ
ガーデンツーリズム登録制度は、庭園の点在する資源を線でつなぎ、地域を横断する庭園ネットワークを生み出します。
観光者が庭園を巡る体験を通じて、深い印象と文化の触れ合いを得られるよう構築されており、観光と地域文化を支える新たな仕組みとして注目されています。
次回は、第2回「全国の登録事例を巡る(前編)」として、北海道や浜名湖など先行事例の魅力と取り組みをご紹介します。どうぞお楽しみに!