第4回：制度の恩恵と期待される効果 🌱
庭園を“線でつなぐ”制度がもたらす地域の変化
国土交通省が2019年に創設した「庭園間交流連携促進計画登録制度（ガーデンツーリズム登録制度）」は、地域をまたぐ庭園ネットワークの形成を支援し、国内外へのPRと観光基盤の強化を狙いとしています (国土交通省)。
📌 1. 観光誘客の強化：庭園単体からルートへ観光導線の拡充
- 単体で知られていなかった庭園もネットワークに組み込むことで、全体としての魅力が底上げされます。
- 実際、北海道ガーデン街道では共通チケット・スタンプラリー・ノベルティ配布などにより来訪者数が増加し、地域滞在時間の延長と回遊性の向上に成功しています (国土交通省)。
📌 2. ブランド価値の向上と国内外への認知拡大
- 登録された庭園ルートには国土交通省からの公式な“制度ブランド”が付与され、プロモーションや講習会、メディア露出などの支援が行われます (大阪観光大学 観光学研究教育センター –)。
- インバウンド対応強化の一環として、英語・中国語対応のパンフレットや公式サイトも整備され、訪日観光客への訴求力が増しています 。
📌 3. 経済波及効果：地元事業者を巻き込む集客力
- パンフレットや共通チケット、体験プログラムを通じて、地域の飲食・宿泊・物販など地元産業への惠が波及しています 。
- 北海道の例では、チケットの4400円分プログラムにより施設利用や土産購入が促進され、地元ホテル・交通機関・観光協会にも好影響が見られました 。
📌 4. 持続可能な連携体制の構築：民間主導の観光モデル
- 制度は自治体やDMO、園芸家など多様な主体による協議会を必要とし、人的ネットワークの形成と体制の安定化が進みます。
- 造園・園芸分野の専門家が企画段階から携わることで、制度の持続可能性と地域に根ざした観光づくりが可能になっています 。
📌 5. 文化継承と地域アイデンティティの再発見
- 庭園を通じて、歴史や風土・産業といった地域特有の文化が再評価されます 。
- 「歴史型」「花型」などテーマ別の登録により、地域のストーリーを編集・再提示するきっかけになります (大阪観光大学 観光学研究教育センター –)。
✅ 制度が目指す“観光と地域文化の共創”
この制度は、
- 観光客にとって：庭園を巡る深い学び・癒し・出会いのある体験ルート
- 地域にとって：経済成長、文化継承、人的ネットワーク形成の持続可能な基盤
という両輪を回す仕組みとなっています。
🔍 今後に期待される展開
- 広域連携の深化：複数県横断型のガーデンネットワーク（例：雪舟回廊など）の拡充により、より広域の観光魅力が創出されています (大阪観光大学 観光学研究教育センター –)。
- 観光回復とインバウンド誘致：コロナ後の観光回復の中で、屋外体験重視の庭園ルートは先導的存在になると期待されています (大阪観光大学 観光学研究教育センター –)。
- 多世代・多層ニーズに応える観光設計：園芸・文化・歴史への興味に応じた多様なプラン形成が進んでいます 。
✍️ 次回予告
次回の記事では、「これから目指すガーデンツーリズムの未来」をご紹介します。どうぞお楽しみに！
