🌿 松山城二之丸史跡庭園 ― 造園美と植栽の魅力
歴史的景観を庭で再現する設計思想
皆様がご存知の松山城二之丸史跡庭園は、かつて藩主の御殿が建っていた場所を植栽と地割りで間取りとして再現しているのが最大の特徴です。
生垣や低木で部屋の輪郭を描き、園路や砂利敷きで空間の機能を示すことで、歩くだけで往時の暮らしや景観を想像できる設計になっています。
流水園・林泉庭と植栽の演出
- 流水園では、カキツバタやアヤメなどの水辺植物、低木のサツキやツツジが水面を縁取り、初夏から梅雨時にかけて色彩豊かな景観を作ります。緩やかな水の流れとともに、四季の植栽が訪れる人の視線を誘います。
- 林泉庭では、マツ類やカシ類の常緑樹を主木に、モミジやイチョウなどの落葉樹を組み合わせ、春から秋にかけての変化を楽しめます。常緑樹の濃い緑が背景を引き締め、季節の花木が庭に華やかさを添えます。
素材・植栽・技術のこだわり
- 石材:地元愛媛の花崗岩を多用し、周囲の城郭建築と質感を統一。
- 植栽構成:常緑樹で骨格を作り、落葉樹で季節の変化を演出。低木・草花で足元を彩り、視線の高さごとに違う景観が楽しめる三層構成。
- 施工技術:自然石の据え方、水路の勾配、植え穴の土質改良など、庭師の経験と技術が随所に活かされています。
訪れるたびに季節ごとの表情が楽しめ、歩みを進めるごとに違った景観が現れるのも魅力のひとつ。
静かな時間の中で、城下の歴史と庭の美しさをゆっくり感じられる場所です。