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日本の庭:🍃 河野美術館の茶室 空間と風景


🍃 河野美術館の茶室 空間と風景

愛媛県今治市にある河野美術館には、東京の旧邸から移築された茶室「待庵」と「柿ノ木庵」が建てられており、露地庭園とあわせて日本庭園として整備されています。

県内でも本格的な茶室空間を持つ施設です。

「待庵」は、京都・山崎の妙喜庵・待庵(千利休ゆかりの国宝茶室)の写しとして構成され、二畳台目の趣ある空間が再現されています。
一方、「柿ノ木庵」は十畳の広間を持つ構成で、室内にあがることは一般開放では難しいものの、庭側からその佇まいを楽しむことができます。

茶庭には腰掛待合も備わっており、露地庭園として庭石、灯籠、手水鉢、苔や植栽が組み合わされた美しい趣があります。


🏯 建築と造形の調和

この茶室空間では、建築美・庭とのつながり・歴史性が巧みに融合しています。

  • 茶室の軒先や障子の隙間から庭を切り取るような視線設計
  • 庭石や飛び石の据え方、地面の敷き込み具合が、室内からの見え方を意識して配置
  • 植栽は控えめながらも四季折々の変化を見せ、庭全体を柔らかく包み込む構成

これらが、茶の湯の精神でいう「間(ま)」や「幽玄」の感覚をこの空間に宿らせています。


🍁 季節と訪問のおすすめ時間

秋には、庭木の紅葉と茶庭の苔とのコントラストが美しく映ります。

春の新緑、夏の緑の深まり、冬の佇まいもそれぞれに風情があります。

訪問するなら、午前や夕方の斜光が入る時間帯がおすすめ。

影の伸びや光と闇の対比が茶室や庭の空気をいっそう引き立て、落ちついた観賞体験が得られます。


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