🇯🇵 天赦園 — 伊達家ゆかりの名勝、日本庭園の粋
🏯 歴史と庭園の由来
四国・愛媛県宇和島市にある天赦園は、かつての宇和島藩主・伊達宗紀(春山と号す)が、隠居所として整備した大名庭園。
園名「天赦園」は、先祖である 伊達政宗 の詩「残躯は天の赦す所」にちなみ、「余生を静かに楽しむ場所」として名付けられました。
現在の庭園は、文久3年(1863年)に築造が始まり、慶応2年(1866年)に竣工。敷地は約11,240㎡、そのうち約三分の一が池となる池泉回遊式の構成で、江戸末期の大名庭園としては貴重な存在です。
1968年には国の「名勝」に指定され、日本全国でも評価の高い風景文化遺産となりました。
🌿 庭の見どころ — 構成と景観美
🔹 借景と池泉回遊式の調和
天赦園の大きな特徴は、背後にそびえる山々(鬼ヶ城連峰など)を借景に取り入れた構成。広い池を中心に、岬、入り江、小島、曲線の汀線などを巧みに配置し、訪問者は歩くたびに異なる景色を楽しめます。
池に映る山、島、空 — すべてが一つの借景として重なり、深い静けさと広がりを感じさせます。
🎍 竹と藤と四季の植栽
庭園内には、藩主家紋「竹に雀」にちなみ、真竹・孟宗竹など18種以上の竹や笹が植えられ、池の周囲を取り囲むように配置されています。
また、藤原氏ゆかりの藤も多く植えられており、春には藤棚(太鼓橋式)が白藤や紫の藤で彩られ、多数の来園者を魅了します。
季節によっては、花菖蒲も楽しめ、春夏秋冬で表情を変える“生きた庭”です。
🪨 石組み・水の造形
池の護岸や汀線には、和泉砂岩の海石が用いられ、岬や島、入り江を象徴する石組みが配され、まるで海岸線のような造形。
小島や出島、架け橋、枯流れ、滝石組など、細やかな“水・陸・石”のバランスにより、日本庭園ならではの静けさと趣が生み出されています。
園内にはかつては屋敷(潜淵館)があったものの後に取り払われ、現在は芝生となっていて、建物の痕跡を感じつつも「庭そのものを楽しむ空間」として生まれ変わっています。
🌸 季節ごとのおすすめと、訪れるならこの時期
- 春 — 白藤・紫藤が藤棚を覆い、池の水面に映る花と山の緑が幻想的な雰囲気🌿
- 初夏 — 花菖蒲が池辺を彩り、涼やかな水音とともに風情を堪能。
- 夏 — 竹林と常緑樹の緑が深まり、木陰や水辺の静けさに癒される涼景。
- 秋 — 池に映る空や山の色、樹木の紅葉で“水と色のコントラスト”が見どころ🍁
- 冬 — 常緑樹と竹林、そして水面の静けさが際立つ落ち着いた景観が楽しめる時期。
どの季節も、それぞれに異なる“庭の顔”を見せてくれるため、何度訪れても新しい発見があります。
🌎 旅のヒントとアクセス
- 所在地:愛媛県宇和島市天赦公園
- 開園時間:おおむね 8:30〜16:30(季節によって変動あり)
- 入園料:大人 500円(中学生・小学生など割引あり)
- アクセス:JR宇和島駅からバスで約10分、「天赦園前」下車すぐ/車なら西予宇和ICから約30分、駐車場あり。
📝 “天赦園”から学ぶ、庭と暮らしのヒント
- 自然との一体感を大切に:借景と池泉回遊式を用いた設計は、庭がただの“飾り”ではなく“生活の一部”になることを教えてくれます。
- 季節を通じた景観の移ろい:春の藤、夏の緑、秋の紅葉、冬の静けさ――四季折々の美しさを取り込む庭づくりの参考に。
- 素材と構成の妙:竹、藤、海石、池、水の流れなど、多様な素材を使うことで“和の風景”に重層性と深みが生まれる点は、現代の住宅庭園にも応用できます。

