🌿 第4回:竹と木の道具 ― 竹垣づくりと伝統仕上げ
— 三神庭芸「職人の道具と手しごと」シリーズ —
日本の庭に欠かせない素材、竹。
そのしなやかさと強さ、そして風景に溶け込む静かな存在感は、
昔から庭師たちの手によって魅力を引き出されてきました。
竹垣づくりは一見シンプルに見えますが、
実は繊細な道具と技術によって支えられています。
今回は、竹と木を扱う伝統道具と、職人技が光る結束や仕上げのお話です。
🔨 竹と木を扱う伝統道具 — 仕上がりを決める“鋼の相棒たち”
🔹 ノミ(鑿)
- 竹の節を削る
- 受け材の細かな調整
- 穴あけ・面取り
竹の表面を滑らかに整え、美しい仕上がりをつくるために欠かせません。
🔹 カンナ(鉋)
- 表面を均一に薄く削る
- バリ取りに使用
特に建仁寺垣や四ツ目垣の見える部分は、
カンナで仕上げることで“品のある表情”に仕上がります。
🔹 キリ(錐)
- 結束用の穴あけ
- 竹の割れを防ぐ下準備
細すぎても太すぎてもいけない、
絶妙なサイズで穴をあける職人技が求められます。
🔹 竹割りナタ
- 竹を割る
- 太さを整える
- 部材を均一につくる
竹は自然のものなので1本1本個性が違い、
このナタの扱い方ひとつで仕上がる垣の印象が変わります。
🔹 シュロ縄(棕櫚縄)
竹垣の美観を決める“主役のひも”。
- 結束が解けにくい
- 見た目が美しい
- 耐候性に優れる(ポリ縄)
結束の向きや締め具合が仕上がりの美しさを左右します。
🪢 結束の締め方ひとつで変わる ― 職人が語る仕上がりの差
竹垣づくりの要は結束(むすび)。
シュロ縄をどう使うかで、耐久性も見た目も全く違います。
✔ 結束のポイント
- 緩すぎると歪む
- 縄の“重なる角度”で美しさが決まる
- 風雨に耐える“ほどよい締め加減”が重要
職人は、指先の感覚だけで
「どこまで締めれば竹がよく収まるか」を判断します。
これは長年の経験が必要な、
まさに“手しごと”の世界です。
🌱 おわりに
竹垣づくりは、自然素材と向き合う奥深い作業。
ノミやカンナの一手一手、縄の締め方ひとつで景観が変わる、
“伝統と技術の結晶”のような仕事です。
次回は、
第5回:「土と水を操る道具 — 地形づくり・植栽・石積み」
をお届けします。どうぞお楽しみに。

