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日本の庭:盤泉荘(旧松井家住宅)庭園


🌿 盤泉荘とは――大洲の高台に佇む別荘建築

盤泉荘(ばんせんそう)は、愛媛県大洲市の城下町を見下ろす高台に建つ、大正期の近代和風木造住宅+庭園です。もとは松井家による別荘として建てられ、現在は「旧松井家住宅」として公開されています。

建築は3階建て木造で、急斜面に石垣を組み、地形を巧みに活かした設計が目を引きます。

山の岩盤からしみ出す水を利用したため「盤泉荘」の名がついたとされ、典型的な和風住宅とともに国際的な意匠も随所に取り入れられています。

松井傳三郎が別荘を構想し、その遺志を継いだ松井國五郎が大正15年(1926年)に完成させたと伝えられています。


🏯 建築意匠と庭の調和

・建築と自然との融合

盤泉荘の最大の魅力は、建築と庭園が一体となって景観を構築していること
客室や縁側から庭を切り取るように見せる視線設計、石垣や飛石の配置、植栽の選び方など、すべてが「屋内外のつながり」を意識して配置されています。

さらに、外壁や天井、窓枠などには輸入材(南洋材など)を用いるなど、松井家の貿易関係性を反映する意匠も取り入れられています。

・庭園の構造と見どころ

庭園は敷地の地形を活かした回遊式に近い構成で、前庭・主庭・斜面部が連続的に繋がります。

前庭には大きな踏み石や巨石が据えられ、重厚感を演出。訪問者を導く動線としての石組が印象的です。

主庭部分は、座敷・茶室・客間など複数方向から眺められるよう設計されており、小さな敷地内に石・池・滝・植栽を凝縮させ、視線のアクセントが巧みに配されています。

また、ライオン像(柳瀬焼=新やなせ焼き制作)など、庭のオブジェにも地域性や歴史性を感じさせる要素が含まれており、単なる和風庭園とは一線を画します。


🍂 四季と観賞のポイント

  • :ツツジや緑の新芽が石とのコントラストを際立たせる時期
  • :紅葉が庭石や木立を染め、影の伸びも美しくなる絶好のタイミング
  • :木々が落葉し、庭石と構造物の輪郭が際立つ風情ある姿

特に光の斜光が庭を包む朝・夕方には、陰影と色の深まりが際立ち、庭と建築の調和がより強く感じられる瞬間があります。


📌 観覧情報&アクセス

  • 開館時間:午前9時〜午後5時(最終受付16:30)
  • 観覧料:大人550円・子ども220円(共通券で臥龍山荘とのセット割あり)
  • 休館日:無休
  • 住所:愛媛県大洲市柚木317

盤泉荘庭園は、大正期の意匠と風景観賞を融合させた庭園体験ができる場所です。建築好き、庭園好き、歴史や地域の個性に興味がある方なら、一度足を運んでほしいスポットです。

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