🎋第6回:地域ごとの竹垣文化 ― 西と東の意匠の違い
文化が生んだ“かたち”の違いと、地元愛媛の竹の可能性
竹垣とひと口に言っても、その表情や構造には地域性が表れます。
京都を中心とした**関西(京風)と、江戸の文化を色濃く残す関東(江戸風)**では、竹垣の意匠や考え方にも違いがあります。
今回は、地域による竹垣文化の違いを紐解きながら、地元・四国や愛媛における活用の可能性についてもご紹介します。
🏯 関西(京風)の竹垣 ― 数寄と雅を表す造形美
関西の竹垣文化は、特に京都において、数寄屋建築や茶庭文化と密接に結びついて発展してきました。
特徴としては:
- 装飾性が高く、意匠にこだわる
- 低めで抑制された構造が多く、庭との一体感を大切に
- 素材の風合いや結び方の美しさに重きを置く
代表例には以下のような竹垣があります:
- 建仁寺垣:透け感と静けさを備えた格子垣
- 桂垣:竹穂を丁寧に揃えた雅な穂垣
- 金閣寺垣:丸竹の構造美が光る低垣
庭そのものが「鑑賞の対象」であり、竹垣はその景を整える“縁取り”の役割を果たしていました。
🏙 関東(江戸風)の竹垣 ― 実用性と粋の調和
一方で関東の竹垣は、江戸庶民文化の中で、実用性と簡潔さを追求する形で発展しました。
特徴としては:
- 目隠しや防犯など“機能重視”のデザインが多い
- 直線的で高さのある構造、しっかりと仕切る印象
- 素材の強度や施工性も重視される
よく見られる江戸風竹垣の例:
- 御簾垣(みすがき):目隠し効果の高い横竹垣
- 鉄砲垣:太竹を並べた力強い構造
- 葦簀垣(よしずがき):葦簀(よしず)を張って押し縁で固定した構造
町家や長屋、店舗前などに使われることが多く、生活と隣り合わせのデザイン性が際立ちます。
🌱 地域材としての竹 ― 持続可能な資源活用へ
愛媛県内には放置竹林の問題もあり、適切な伐採・利用が求められています。
竹垣は、こうした地域課題の資源循環の出口として有望な活用先です。
- 真竹・孟宗竹を定期的に伐採し、竹垣や園芸資材に加工
- 地元工房や職人と連携し、伝統技法を現代に継承
- 学校や地域イベントで「竹垣づくり体験」など地域教育にも展開
SDGsや地域資源活用の観点からも、“地元の竹を、地元で活かす”取り組みは、景観づくりと里山保全の両立に繋がります。
✍️ まとめ:竹垣は、地域の文化と風景を映す“鏡”
関西と関東、それぞれの文化から生まれた竹垣の形。
そこには、庭や空間への考え方の違い、そして暮らしの美意識の違いが反映されています。
そして地元・愛媛でも、竹垣は「昔ながら」ではなく「これからの景観素材」として、
環境・地域・観光のすべてをつなぐツールとして、まだまだ活かす余地があります。
次回(第7回)は、
▶ 現代の庭に合う竹垣デザイン ― 和と洋をつなぐ美意識をテーマに、
実際に竹垣を取り入れたい方への実用的なアドバイスをお届けします。どうぞお楽しみに🎍