第5回:これから目指すガーデンツーリズムの未来 🌸
1. ポストコロナの観光回復とインバウンド再燃
2024年に記録的な3600万人超の訪日客を迎え、2025年には国外からの訪日者数が4000万人を突破する見通しです (Japan Garden Tourism)。
これを背景に、屋外で安心して楽しめる「庭園ツーリズム」は、外国人旅行者にとっても魅力的な新しい旅先として脚光を浴びています。
大阪・関西万博(Expo2025)や、地方都市への誘客施策とも相まって、庭園観光の裾野がますます拡大するでしょう (Danny With Love)。
2. エコ&カルチャーツーリズムの中心拠点へ
市場全体で、23年末〜24年にかけて文化・エコツアーが全体の52%以上を占め、カスタマイズ型旅行・体験型旅行は68%に及ぶと予測されます (Future Market Insights)。
この流れはまさに「庭園で味わう文化・体験観光」とぴったり重なります。
各地庭園をめぐりながら地域文化を学ぶ体験が、持続可能でエシカルな観光の象徴として、2025年以降も注目され続けるでしょう。
3. 地方創生と過密回避──“庭園分散型観光”の推進
京都など一部地域で顕著な過密観光が問題化する中、JNTOなどは地域分散のために観光客の地方誘導政策を推進中です 。
庭園ツーリズムでは、知名度の高い寺社庭園(京都・後楽園など)に加え、地域に埋もれる「隠れた名園」の価値を掘り起こし、全国規模で観光の負荷を分散させるモデル構築が期待されています。
4. “緑のインフラ”として都市観光との融合
都市緑地と観光の接続性が強化される中、緑のインフラ(UGI)の整備は都市観光の質向上につながると研究でも示されています (link.springer.com)。
庭園は観光の主体としてだけでなく、街の「癒しと賑わいの軸」として、都市計画との連携も未来像の一部です。
歩いて、巡って、感じる――そんな体験が都市×緑の観光モデルの主流になる日は近いでしょう。
5. デジタル・テクノロジーの活用による魅力発信
スマホアプリやオンライン地図、予約システムといったツールによるスマート観光化が進行中。
庭園ツーリズムでも
- 英語・中国語の多言語パンフレット
- ARガイドや音声ツアー
- スタンプラリーや共通チケットのデジタル化
などが、より便利で楽しい旅を後押しします。
さらに、VRで海外から庭園を体験できるサービスも、新たな誘客手段として注目されています。
6. サステナビリティと文化継承を両立する庭づくり
庭園を通した里山保全や地域文化の顕在化は、地方創生との融合ポイントです。
サトとの調和を含む植栽復元や、在来植物を活かす庭などは、生物多様性への貢献も期待できます 。
また、造園・園芸家による高度な保存技術や、地元高校・大学との連携によるフィールド教育など、次世代への知識継承のプラットフォームとして庭園が重要な役割を担い始めています。
🎯 未来へ向かうガーデンツーリズム──まとめ
成長分野 | 展望・効果 |
---|---|
インバウンド再興 | 安全で文化的な庭園観光が拡大 |
エコ/体験観光 | 地域文化と自然を融合した体験が主流化 |
観光分散・地域創生 | 地方の名庭園が新たな観光の中心に |
都市緑化・インフラ計画 | 観光と利便性を両立する都市環境へ |
デジタル技術 | 多言語対応アプリ・VR導入で利便性UP |
持続可能な庭園管理 | 地域文化と自然保護の両輪で持続力強化 |