西江寺庭園(せいごうじていえん)
愛媛県宇和島市丸穂町にある西江寺庭園は、江戸時代初期に作庭された枯山水庭園で、石組・芝庭・借景を巧みに用いた静謐な和の空間です。
県指定名勝にも認定されており、地域の造園文化を語るうえで貴重な一例となっています。
🏯 歴史と背景
この庭園を併設する寺院、西江寺は鎌倉時代の1365年に創建されたと伝えられ、宇和島藩による城下町整備の際に現在地へ移転されました。
庭園もその移転後の時期に整備されたと推定され、地域における禅宗寺院と造園の関係を反映しています。
🌿 造園の見どころ
- 芝庭と築山の構成:庭の大部分を芝生の平面が占め、その中央に礼拝石(大きな平石)を据えています。芝生を「大海」に見立て、背後の築山や出島が“陸地”として構成され、訪問者に奥行きを感じさせる設計です。
- 水を使わず象徴的に湖・島を表す石組:池や水面を実際には用いず、飛び石・舟石・橋添石などを配置し「大海」「島」「舟」を象徴的に表現します。江戸初期の枯山水庭園の典型的な手法です。
- 借景と背景の活用:庭の背後に山々が広がることで、景色に連続性をもたせ、「庭」「寺」「自然」の三者が一体となった空間構成がなされています。
🍂 季節の楽しみと訪問のヒント
秋には芝庭に落ち葉が舞い、庭石の影が長く伸びることで静かな景観が際立ちます。春の新緑、夏の深緑、冬の落葉後の石庭…それぞれの季節で異なる顔が見られるため、訪れる時間や季節を変えて観賞するのがおすすめです。
訪問時には、寺院の参道をゆったり歩き、庭に向かって縁側から「静かに眺める」時間を持つことで、作庭者の意図した「静観する庭」の魅力をより深く感じられます。
📌 基本情報
- 所在地:愛媛県宇和島市丸穂町甲1140
- 公開時間:7:00〜17:00(年中無休)
- 特徴:愛媛県指定名勝、池を用いずに自然景観を石と芝で表現した希少な造園様式。
静けさと深みを併せ持つ西江寺庭園は、庭園愛好者だけでなく、和の空間や時間の流れをゆっくり感じたい方にもぴったりの場所です。
訪れる際には、スマホを少し置いて、足元・石・苔・光の変化に心を向けてみてください。きっと豊かな“庭時間”が得られるでしょう。

